Blog
2021.07.24
経済効果1300億円減
東京オリンピック・パラリンピックは新型コロナウイルスの感染再拡大によって無観客での開催になり、民間エコノミストは経済効果が1300億円ほど縮小すると試算しています。
さらに大会に伴って感染状況が悪化すれば、景気への逆風が一段と強まる懸念もあり、今後の動向が注目されますね。
開催都市である東京都は2017年の時点で直接的な需要増加を1兆9790億円と見込んでいたのですが、このうち新国立競技場のなどの施設整備費3500億円を除く1兆6290億円が開催形式によって左右される部分で、野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストがコロナの影響を試算したところ、感染防止対策などの追加需要で1兆8108億円に膨らみ、競技の大半が無観客になったマイナスもあり、チケット代や交通費、宿泊費のような関連消費などが1337億円が減るのだそうで、経済効果は差し引きで1兆6771億円になりそうなのだとか。
今回のオリンピックをきっかけとする経済活性化のシナリオも崩れ、都は直接効果以外に「レガシー効果」で12兆2397億円の新たな需要が生まれると計算しており、観光では東京を訪れる外国人旅行者数を20年に2500万人、24年に3000万人とするのが目標だったのですが、コロナが直撃した20年の実績は約252万人で前年を8割下回り、目標に遠く及んでいません。
オリンピックを見据えたホテルの新設・改修などは当てが外れ、レガシー効果は期待外れになる可能性があり、さらにコロナ下でのオリンピックの強行自体が景気の下振れリスクにさえる可能性があり、みずほリサーチ&テクノロジーズの疫学モデルによると、夏場の人出が4~6月期並みにとどまる場合はワクチン接種の進展もあり8月22日に予定通り緊急事態宣言の解除が見込めるようですが、オリンピック開催により危機意識が薄れ、人出が増えると、感染力の強いインド型(デルタ型)の流行もあり、新規感染者数は9月中旬には全国で週5万人と感染第3波の1月や第4波の5月のピークを超し、「地域によっては医療体制の逼迫が起きかねず、経済活動の制限強化が必要となる」と上席主任エコノミストの服部直樹氏は警鐘を鳴らしています。